国立新美術館「貴婦人と一角獣展」と、山田純嗣の一角獣

【貴婦人と一角獣展】

★「貴婦人と一角獣展」(国立新美術館)に行きました。フランス 、クリニュー中世美術館の至宝で国外にでるのは約40年ぶり2回目の事だそうです。楽しみにしていた一番の理由は、当ギャラリーでご紹介している山田純嗣さんが2009年からこの一角獣関連の作品を幾度もモチーフとして制作・発表していて、以前から関連サイトなどで画像を何度も見ている馴染みの名作です。
この名作は6枚のタピストリー、「味覚」「聴覚」「視覚」「嗅覚」「触覚」など五感を表すとされているが、もう1点、「我が唯一の望み」は現在も様々な解釈があって「謎」のまま。山田さんはこの謎めいた1点「我が唯一の望み」を2011年の個展タイトルにも応用しています。(個展ではタイトルに応用した「我が唯一の望み」ではなく、「視覚」をモチーフにした作品を出品*下記図版)
驚いた事に山田さんは「実物を見たい」と、まだ出品作品の制作が終了していない1ヵ月程前にも関わらず、このタピストリーのあるクリニュー中世美術館まで見に行ってしまいました。その時は個展展示が間に合うかどうか、心配していた記憶があります。(もちろん個展には全作品出品されました)

↑ 「(11-07)THE LADY AND THE UNICORN SIGHT」
「山田純嗣展~絵画をめぐって A mon seul désir 」2011 高島屋 美術画廊X出品作

↓ 「貴婦人と一角獣《視覚》」(1500年頃 仏、クリニュー中世美術館蔵)

 

 

★また今回は不出品ですがメトロポリタン美術館分館クロイスターズ蔵「囚われの一角獣」は、現在まで続く「絵画をめぐって」シリーズ(名作をモチーフにした一連の作品)制作を始めた記念すべき第1作です。当時この作品を初めて見た時は不勉強であり、山田さんのオリジナルモチーフと思っていましたが、そのくらい山田さんのイメージとピッタリ合った作品だと思った事を思い出します。

「(09-7)UNICORN IN CAPTIVITY」(東京ステーションンギャラリー蔵)

 

 

★山田さんの作品は立体をジオラマ風に配置して制作していきますが、大きな会場では小さな立体をその場に応じて配置した「インスタレーション作品」としても発表しています。そこにも一角獣が度々登場していますので3会場でのインスタレーション風景をご紹介します ↓ ↓ ↓


上:「山田純嗣展絵画をめぐって-ThePureLand-」(中京大学アートギャラリー C・スクエア 2009/6/29~7/25)
中:「アイチ・ジーン」(豊田市美術館・又日亭 2011/2/23~3/6)
下:「山田純嗣展~絵画をめぐって A mon seul désir 」(高島屋 美術画廊X  2011/10/12~10/31)

 

 

★国立新美術館会場は国内でもあまりない、かなり天井高のある壁面ですが、今展の為に会場内部を全て「黒」で覆い尽くしています。黒い空間に展示された6枚のタピストリーは、500年という歴史を乗り越え色彩は威厳のある美しさを保っています。このタピスリーが名作でありながら特に女性ファンに人気が高いのは美しさだけでなく近づいた時に発見できる可憐な小花や小動物たちが描かれているからもあるでしょう。山田さんも今展のアイコンになったタピストリーのあちこちに登場するウサギをいち早く作品にしています。(この4点は「ウサギマミレ、マレニネコ」展の為に制作されたチャリティ作品でもあります)
ちなみに「貴婦人と一角獣展」会場では6枚のタピストリーに登場するすべての動植物をパネル展示していました!

↑ 山田純嗣作:上から「(11-2)RABBIT」、「(11-3)RABBIT」、「(11-4)RABBIT」、「(11-5)RABBIT」