作田富幸個展 hundreds of faces

作田富幸個展
Tomiyuki Sakuta “solo exhibition” hundreds of faces -100faces & friends-
2014.3.17-4.5 日祝休

当画廊では約5年振りとなる作田富幸個展、2年かけて制作された2つのシリーズを中心に展示。
2200点以上のfaceが来廊者を包み込みました。

〝100faces″シリーズ
ハガキサイズの銅版画〈face〉を1日1点を目標に制作し100点完成、100facesシリーズとなる。36faceが描かれた60×90㎝のパネル装作品が1つの作品である。
一番広い壁面にはドローイング・彩色・コラージュされたパネル装作品28点を連結させて<240×630cm/1008face>のカラー壁画になった。
向い側壁面にはモノクロのパネル装作品16点を連結させて、240×360cm、576facesのモノクロ壁画となった。
画廊扉を開けた来客はまず、このカラー壁画による圧巻の展示に一瞬たじろいで立ち止り、その後ゆっくりと近づいて濃密な作田ワールドに浸っていました。





〝100faces″シリーズは今回でほぼやりきったとの事。今展示はこれまでで最もスケールのある展示になったそうです。

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“friends”シリーズ
1995年から海外でのアーティスト・イン・レジデンスに参加、2012年スウェーデン(Boras)での滞在制作から、現地で出会った人々を描く”friends”シリーズが始まる。1作目は繁華街に行き「あなたの顔を描かせてください」というプラカードを首からぶら下げ、モデルになる人を待つがなかなか見つからなかったというエピソードをアーティスト・トーク(2014.3.15)で話していた。その後、滞在先の工房の仲間や現コレクター達との交流もあって、これまで60点の”friends”シリーズが制作された。見た目の印象をデフォルメした作品、モデルになった人との会話やしぐさから作品イメージを探りデフォルメした作品など、他者との関係から生まれ出た作品は、技術と密度のある完成度の高い過去作品の印象とは明らかに異なり<作家とモデル>の関係性と同様に<作品と観客>との距離も近づいたように思われる。作品下にはモデルになった人の名前を漢字(当て字)で添えて1枚は差上げる行為(パフォーマンス)も作田富幸の新たな芸術性の一面である。
前述の“100faces”シリーズはほぼやり尽くしたとの事だがこの”friendes”シリーズはまだ続けたいそうだ。

2014年3月までの“friends”シリーズ全60点 ↓
 

“friends”シリーズにドローイング、彩色、コラージュを施した8枚のパネル装作品を組み合わせた作品は240×180㎝の壁画となって展示された。これはA4サイズのDMとなり各所で相当話題となって来客が多かったのは初めてのケース。

下記画像は8枚を組み合わせた中の1点 60×90cmのパネル装となっている。↓

(売る晩)記念すべき“friends”シリーズの第1作。見るからにヤバそうな雰囲気の男が初めてのモデルとなったそうだ。

(利有)滞在制作先で出会った眼の大きな女性がモデル。直島で草間彌生を見に行ったというエピソードも取り入れた作品。

(美流華)会話を交わす時に必ず相手の体に触れながら話す女性がモデル。作田さんも肩に触れられてドキッとしたそうだ。

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<BOX ART>
2200以上のfaceに圧倒される個展会場奥、左右の壁に(新作ではないが)未発表のBOX ART作品を密かに展示した。そのクオリティとオリジナリティは極めて高い。雁皮紙に刷った銅版画を板に貼り付けて彩色、輪郭線に添って丁寧に裁断している。ホワイトボックスの内側にも沙鮮やかな色彩で彩色し、釘・木材・枯草・ヒモなどを使用し、作田富幸しか出来ない素晴らしい立体オブジェとなっている。
今展メインの“100faces”、“friends”シリーズは、この2009年制作のBOX ARTを制作したことがきっかけとなったようだ。海外・国内でも出品されていたが当画廊では初めての出品となる。素晴らしいクオリティなので今後も続けて欲しいと思う。



2014.3.15 オープニングパーティ&アーティストトーク









個展会期中の最初の土曜日(2014.3.15)の夕方からオープニングパーティ、当日は延べ100名程が来廊。17:30からはアーティストトークを行った。今展発表の“100faces”、“friends”両シリーズ制作に至るまでの流れやコンセプトをゆっくりと丁寧に解説、版画家や各美大の先生方々等、版画関連の方が多かったのですが内輪向けの話にはならず、作家や版画についての知識のない方が聞いてもわかりやすい内容だった。<自分の考え・思いを相手にわかりやすく伝える>というシンプルだが意外に難しい事を淡々とこなされていたのは、海外での滞在制作を幾度も経験した事も多いに影響しているのだろうと思った。

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出品作品ダイジェスト版を、ループ映像で流した。

缶バッチ(オープニングパーティ来場者先着50名にプレゼント)

“100faces”マグネットパズル。子供連れの来廊者に大人気!

“100faces”、“friends”シリーズに囲まれる作田富幸氏。