細江英公

今夏、池田20世紀美術館でのボクの個展会場でヨシダ・ヨシエ氏から成田朱希さんを紹介された。そのとき持参していた彼女の作品アルバムを見せられ、19才の時に描いたという「少女」の油絵にボクは戦慄を感ずる強烈な印象を受けた。思わず『買った!』と大声で叫んでしまった。今、「少女」はボクのスタジオの化粧室の中に飾ってある。トイレといっても、そこはボクにとっては神聖なる「わたくし美術館」であり、また「わたくし劇場」でもあって、決して不浄なところではない。ボクはそれまで10年間飾っていたダリの「サントノーレ」をおろして成田朱希の「少女」を主役にかえた。脇役にはバーバラ・モーガンの「マーサ・グラハム・世界への手紙」ロベール・ドアノーの「パリの画廊」を配した。この配役は見事にユニークである。
その後「少女」は、朱希さんの希望でボクの個展会場にあった「鎌鼬」と交換した。それは土方巽が秋田県田代村の村人たちに担がれて田圃のあぜ道を往くプラチナプリントの作品である。
いま「鎌鼬」の中の一枚は成田朱希さんのアトリエの中に飾られている。  

細江英公