ミュゼ浜口陽三「絶対のメチエ-名作の条件(ルドン、ヴォルス、駒井、北川他)」

「絶対のメチエ ― 名作の条件」

会場:ミュゼ浜口陽三ヤマサコレクション
会期:2014年1月25日(土)~4月20日(日) 月曜休館
時間:11:00~17:00(最終入館16:30。土日祝は10:00開館。)

※美術館の許可を経て撮影させて頂きました

銅版画をゆっくりと浸って見るには最敵な美術館、ミュゼ浜口陽三ヤマサコレクション。
受付の脇には浜口陽三が使用したプレス機が出迎えてくれます。


浜口陽三が使用した銅版画の道具達。
その鈍い金属の輝きに惹かれて(憑りつかれて)銅版画の道へと歩んだ作家も多いのではないだろうか。


4/20迄開催中の「絶対のメチエ-名作の条件」
好きな作家・作品が多い事もあって楽しみにしていたが、予想を良い意味で裏切られた展示空間が構成されていた。
浜口陽三カラーメゾチントの隣に、
息をかけると吹き飛んでしまうような繊細なヴォルスの作品、
フォートリエの描く不安定な形、また斎藤義重の赤い作品も効いている!
1F展示の締めくくりには加納光於1960年代初期のブルーのメタルプリント作品。

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地階に降りてすぐの壁にルオーのミセレーレ、
その横にルドンのモノクローム作品と駒井哲郎の「果実の受胎」。
銅版画はそもそも書物の印刷物の為に誕生した歴史があり、手に取って「見る」くらいの距離感が丁度良いのですが、
これらの銅版画作品は少し離れて「観る」作品だと思う。

↓ 下記作品は少し近づいて「見る」作品。-北川健次、川田喜久治、ルドンなど。

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螺旋階段を下りてぐるりとまわり、最後に視野に入ってきた壁面は圧巻、鳥肌が立った。
サルタン、浜口陽三、北川健次、メクセペル、版画作品としては少し大きな、各作家の代表作が展示空間をピリリと引き締めている。
離れて見ると、左から<円・横長方形・縦長方形・横楕円> だ。

銅版画の歴史に沿った展示ではありえない構成であるが、緊張感と違和感が絶妙なバランスである。
それらの作品に向かう 手前のガラスケースには、駒井哲郎、加納光於等の「銅版画について」関連文章を抜粋したテキストが置かれている。
ガラスケースに置かれた、ただの「紙片」なのであるが読んでいると「言葉」がオブジェのように立ち上がってくるから不思議なものだ。


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地階をぐるりと一周し、降りてきた螺旋階段の元へと辿り着く。
降りてきたときには気付かなかった木製ベンチに座ると、視線が下がりまた違った空間が広がっている。
美術館としては決して広くないのであるが、
銅版画の黒いマチエールが発する凛とした空気が、現実的な時間や物理的な空間をすっかり忘れさせてくれる。
あえて多忙な仕事の合間に訪れて、心と気持ちをリセットさせるのも良いかなぁと思う。
会期中に2度3度と訪れたい企画である。

不忍画廊/SHINOBAZU GALLERY 荒井裕史

出品作家(50音順)》

 ヴォルス / エゴン・シーレ / オディロン・ルドン / 加納光於 / 川田喜久治 / 北川健次 / 駒井哲郎 / 斉藤義重 / ジャン・フォートリエ / ジョルジュ・ルオー / デイヴィッド・ホックニー / ドナルド・サルタン / 長谷川潔 / 浜口陽三 / フリードリヒ・メクセペル

ミュゼ浜口陽三ヤマサコレクション