「居る」 2020 パネルに和紙、墨、岩絵の具 910×727(F30)
外出自粛が続く中、SNSでは「Stay Home」の言葉をよく目にするようになりました。
「居る」というタイトルは、英訳すると「Stay」になりますが、こんな状況になるとは全く考えずにつけたものでした。
私はここ何年か「件(くだん)」という人面牛の予言獣をモチーフに制作を続けていますが、この作品に「居る」というタイトルをつけたのは「件は出現するのではなく、いつも居るものではないか」と考えたからでした。いつもは気づかない存在であるが、気にかけて見るとそこに居る。そんな存在が件なのではないかと思ったのでした。
私にとって絵を描くことは、まじないのようなものでもあります。元来、絵とはそういうものであったのではないかと思うのです。
多くの人が困難を乗り越えられるように願いながら作品をつくり続けられたらと思います。
2020年4月 箕輪千絵子