セルフレビュー 2012-① オープニング企画「人物画 風景画 静物画展」

セルフレビュー2012-1
オープニング企画「人物画 風景画 静物画展」2012.9.21-10.27

一つの企画展を開催するには出来上がった展覧会イメージが第一、次にイメージ通りの作品を揃えられるか現実面が第二、
そして展示後に初期イメージを超えられれば成功。
1.ギャラリーコレクションを中心にする場合
2.作家からの新作を中心にする場合
3.展覧会自体を中心に考える場合
などがあるが、今回は移転後の「ギャラリーの方向性を見せる=全作家」による展示をしたいと思っていた。

1960年に上野不忍池端で開廊し52年目、当時から紹介し続けている池田満寿夫、斎藤真一、長谷川利行、駒井哲郎等、
今では物故作家であるが利行を除き、当時はみな現代美術であり新しい作家であった。
現在も近代・現代美術、油彩・版画など時代や手法で作家を決めずに、独自性・完成度・作家としての力量・意欲的な制作力・スタンスを重視し、
5年~20年継続紹介している作家・作品は30名程となった。

前述の通り「ギャラリーの方向性を見せる展示」には今後も紹介する予定の30作家(各2,3点なので)80作品程を全て見せる少々無謀な展示を試みる事にした。制作年代・スタイル・手法が異なり、個性の強い作品、個展で見せた方が良い作家、隣り合う事で共鳴し合う作品とつぶし合う作品など、まっさらな壁へ初めて釘をうつ緊張感もあり展示には1週間もかかってしまった。
展覧会タイトルは、絵画を見た目で区別する際に使う「人物画 風景画 静物画展」。
移転後の初企画という事もあり、プレオープンでは約150名、レセプション+チャリティオークションでは約80名、40日間で延べ600名程の来客で結果もそこそこあったが、展示意図(=ギャラリー方向性)をある程度汲みとって頂いたのは数名程だったように思う。

今展のような他作家による企画展は、個展以上に誰にでもわかりやすくシンプルで、なおかつ独自性をもった企画展にしなければならない。
しかし80点(30作家)も展示する事は、今後もそうそうある事ではない。非常に良い経験が出来たと思う。

2012.12 不忍画廊/SHINOBAZU GALLERY 荒井裕史