オープニング企画展より

引越しが残したもの

出品した作品と引越しという出来事は共通性が無く関係がないような感じがしますが、
実はあるキッカケが作品の生まれたもと。
昨秋、慌しく東京から千葉に移動する事となり計画性も無く、まして準備も知識も体力も無い中で
年老いての作業は肉体・精神的にもバタバタガタガタの毎日でした。
制作や展覧会の為の在廊等は激しい運動の後で無理矢理急に息を整えるようなモノであり、
結構苦しく感じた次第です。 その後においても長い間暮らしてきた町を離れて人も風景も変わり、
慣れない生活の中で落ち込み集中力も無くなり、作品が思うように描けず眠れない日が続きました。
そんなある夜、いつも通り頭がボケーとしていると
夢か現実か?幼い少女が近寄って来て
「元気ないね。どうしたの?」と、
その一言の心地よい声の響きに癒され、またその自然な仕草にイメージが膨らみ、
新たな制作意欲が湧いて来た時、朝になっていました。

そんな中から生まれたのが
「赤い靴」、「いらっしゃいませ」、
となりました。   中佐藤 滋

 

 

中佐藤滋/Shigesru Nakasato
1947~ 東京都生まれ 東京都在住。
NICAF(東京国際フォーラム)、安田火災美術財団奨励賞展等出品 安井賞展《入選》
一線美術展《文部大臣奨励賞》 詩画集『七つの月 詩:宇里香菜』