設楽知昭 「急な羽音の景色」
2014 oil on canvas 910×727mm
散歩をしていて遠くの山を見ていたところ、急に耳元に虫が飛んできてびっくりしました。遠くの山に向けていた意識がいっぺんに移動(ワープ)して来たのです。この絵の始まりはそんなところからなのですが──遠くの手に触れることの出来ない山(山に触れることは出来ないのですね)と、耳元の羽音(虫)という近すぎて見ることの出来ないことが同時に在ったということが、面白かったのです。しかし、絵というものは、遠くのものも近くのものも、私はこの腕の届く距離で、画面に対し描き見ているのですから、絵というものも不思議なことです。