オープニング企画展より

私の芸術上の大きな転機は1978、79年パリ在住のおり、幸運にもラスコーの洞窟で手形を見た事にある。
彗星が長い時を旅し、また巡り会った、そんな思いに溢れていた。
洞窟は1963年マルローによって閉鎖され、一日5人25分という条件で見学が許されていた事を帰国後知った。
そんな事は知らずに訪れたラスコーで、どうして見学が許されたのか?
太古の画家と私の間のイニシエーションだったのかもしれない。
その後、私の作品のテーマは「根源的」な物へと絞られていった。
人間にとっての「根源的な」存在や時間、
日本人にとっての「根源的な」精神、文化、宗教、美、風土を現代という視点を通して表現している。
その表現はシンプルで明快な構成であるが、多くの物をそぎ落として、なおそこにあるもの、
つまり「根源的」な物がそこには満ちあふれているのである。
橋場信夫

 


「月見人」24×24cm

橋場信夫/Nobuo Hashiba
1950~ 東京都生まれ 東京都在住 。
エコール デ ボザール ヤンケルのアトリエに学ぶ(パリ)。川瀬敏郎とのコラボレーションで、現代美術による「室礼(しつらい)」の第一人者。コレクション:印刷美術館、慶応義塾大学、ハイアット リージェンシー大阪、センチュリー ハイアット東京、日航ホテル、ANAホテル、京王プラザホテル東京、和久傳、富美代(京都)、あさば(修善寺)、石葉(湯河原)、蓬莱(伊豆山)、水明館(下呂)、トヨタ自動車(豊田)、JAL羽田北ダイアモンドプレミアラウンジ、ザ ぺニンシュラ東京、ザ ウインザーホテル洞爺湖(北海道)、シェラトンホテル広島、ANA インターコンチネンタルホテル東京、ANA 羽田空港新国際線ターミナル VIPルーム他多数。