オープニング企画展より

2011年、遠く離れた自国の信じがたい災害の報を受けたとき、また匿名の個人の顔を書きたいという強い衝動があり、3月11日以前に制作していた シリーズを中座し、『Requiem for our silence』の制作をはじめた。
原則として3つの層で構成する。
第一の層、鏡面に 微粒子で個々粒子が安定した純然たる黒のグラファイトで水平のドローイングから動きを発生させて環境と変動を象徴する形。
第二の層、フィルムに黒から褐色へ有機的に変化する性質を持つアスファルトによって人の存在を表し第一層に重ね合わせる。
第三層、白色系の顔料の混合で、白から半透明に変化してゆく流れで下の2層に時間や記憶の要素を与えた。
全体で一つの空間で無言の合唱のようになるようにイメージして4つの違うサイズを制作、今回の4点は嬰児—幼児—子供—思春期を組み合わせた。全体を通してそれぞれの年代による環境と自我の関わりを流れとしてみてもらえ またその年代の自身に思いを馳せていただければ、と思っている。 藤浪理恵子


Requiem for our silence 16-4  40×40cm
Requiem for our silence 12-3  30×30cm
Requiem for our silence 10-7  25×25cm
Requiem for our silence 8-1  20×20cm (上から順に)

藤浪理恵子/Rieko Fujinami
1960~ 千葉県生まれ 東京造形大卒 多摩美大学院修了 NY在住
文化庁買上げ優秀美術作品選定 パブリック・コレクション:神奈川県立近代美術館、文化庁、東京ステーションギャラリー、Tikotin Museum of Japanese Art(イスラエル)他

http://www.riekofujinami.com/